認知症に対して独自のアプローチに挑む九州大学名誉教授 藤野武彦先生の取り組みがTBSテレビ「夢の扉+」で取り上げられましたので紹介します。
脳疲労解消法
藤野先生は、以前から脳に対して脳疲労という独自の学説を持っている方です。
メタボ、糖尿病、うつ病などは脳の疲労によって引き起こされるという考えです。
脳の疲労の原因は、仕事や家庭、人間関係などのストレスから生じると考えられます。
その脳疲労解消法がコチラです。医者とは思えない独自のものです。
- いくら健康に良い運動でも嫌なら無理にやらない
- 好きで仕方がない・止められないものは禁止しない
- 健康に良くて自分がとても好きなことを一つでも良いから行う
大切なポイントは、自分が悪いことをしていると決して思わないこと。
その瞬間に脳が疲れて逆効果になるんだとか。
この脳疲労解消法を約4000人を対象に10年間追跡調査した結果、ウソみたいですが肥満度や中性脂肪の値が改善したというデータが出ました。
つまり、病気の発症を予防できることが分かりました。
ではなぜ痩せられたのか?
五感が正常化して、薄味・少量で満足する身体になるためなんだそうです。
認知症改善物質 プラズマローゲン
今回、藤野先生が取り組んだのが認知症改善です。それに用いられた物質がプラズマローゲンと呼ばれるものです。
これって一体なに?と思いますが、プラズマローゲンは、薬ではなく人や動物、魚介類などにもとから存在する自然由来の物質です。
プラズマローゲンはリン脂質の一つで、脳細胞の根源的な機能を制御していると言われています。人ではリン脂質の18%ほどを占め、脳や心臓、精巣に多く存在します。
リン脂質は、体内で情報伝達に関わっている物質です。リン脂質が不足すると、細胞が正常に働くなり、コレステロールがたまり、動脈硬化や糖尿病を引き起こす原因となると言われています。
ストレスが起きると脳内に酸化物質が発生して脳細胞が酸化し死滅します。これが脳疲労です。プラズマローゲンは脳細胞の代わりに酸化して脳を守ってくれる抗酸化作用のある物質です。
認知症になると脳内のプラズマローゲンが減少することは専門家の間では以前から知られていました。
しかし、認知症の発症原因ではないとされ注目されていませんでした。専門家の間ではもっぱら認知症の原因とされるアミロイドβをいかに取り除くかが中心なのです。
藤野先生の考えはそれとは違い、アミロイドβがそのままあってもこのプラズマローゲンがあれば脳の細胞が活性化し認知症の改善に役立つと考えました。
そこでまずはプラズマローゲンの抽出・精製に取り掛かりました。しかし、熱に弱いなどなかなか上手くいきませんでした。
そこに手を差し伸べてくれたのが九州大学の同期生の馬渡博士です。彼の助けによってプラズマローゲンの抽出・精製法の確立に成功しました。
使う材料はホタテです。人の体内に存在するプラズマローゲンに近いものが豊富に含まれているからです。これにより大量のプラズマローゲンを作ることができるようになり、様々な実験が可能になりました。
まずはマウスでの動物実験です。プラズマローゲンは、記憶・学習を向上させるという予想以上の効果を示しました。プラスマローゲンは、低下した神経細胞の働きを改善・向上させる役割を果たしていると考えられます。
そして人への臨床試験です。
アルツハイマー型認知症患者40人の臨床試験では約5割が顕著な改善、残り5割は現状維持という結果になりました。なんとアルツハイマー型認知症患者の半分の方に顕著な改善効果が出たのです。
プラズマローゲンの課題
認知症専門家より2つが指摘されました。
・認知機能を改善させるメカニズムの解明
・より大規模な治験でその効果を実証する
その後、藤野先生は動物実験でプラズマローゲンが脳神経細胞を新たに生み出す神経の細胞新生を起こすことを突き止めました。
去年12月、新たに400人規模の臨床試験がスタートしました。
プラズマローゲンの認知症への効果の結果が待たれるところです。
「夢の扉+」で取り上げられ大反響となった「プラズマローゲン」は、認知機能の一部を維持する機能性表示食品のサプリメントとして発売中です。
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現在、藤野先生は、「プラズマローゲン」の薬化を目指しているそうです。
なぜ薬化したいかというと、保険適用にできるからです。
もっと多くの人に届けたいという願いがあるそうです。
■プラズマローゲンの脳への驚くべき働き 脳疲労・認知症への効果
循環器が専門の九州大学 丸山徹教授によると、心臓患者のプラズマローゲンは一般の人よりも少ないことを突き止めました。これは、抗酸化力のあるプラズマローゲンが少ないため血管が錆びやすいということが考えられるそうです。
プラズマローゲンは血管にも良い作用をもたらすようです。