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新しいがん免疫療法 免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブの効果と課題 NHKサイエンスZEROで紹介

      2015/10/29

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NHKテレビ「サイエンスZEROゼロ」でこれまでのがん治療を変えるといわれるまったく新しい免疫療法が紹介されました。一体どんなものなのかまとめてみました。

従来のがん免疫療法

新しい免疫療法を知る前にまずはこれまでのがん免疫療法とはどんなものだったのか。これまでのがん免疫療法は、体内の免疫細胞を活性化させたり、増やしたりして免疫細胞の働きを高めてがん細胞をやっつけるという治療法でした。これは免疫細胞がウイルスや細菌の他にがん細胞をやっつけてくれるという働きを利用したものです。この方法、一見すると効果的に思える方法ですが、これまでこの免疫療法であまりいい効果を得ることなかったといいます。どうして上手くいかなかったのか。その原因は、がん細胞の巧妙な戦略にあったといいます。免疫細胞には、その働きを活性化したり不活性化したりするボタンがそれぞれ存在するといいます。自動車のアクセルとブレーキのような役割をするボタンです。がん細胞はこの免疫細胞のブレーキボタンを押して攻撃できなくする能力があるといいます。このため免疫細胞を増やしてもその働きががん細胞によって抑えられ、思うような効果がでなかったといいます。がん細胞には恐ろしい能力が備わっているんですね。でもがん細胞は、よくコピーミスによって生まれるといいますが、そんながん細胞がどうしてこんな能力も備わっているのか不思議なものですが。

新しいがん免疫療法

s_1506141500新しいがん免疫療法のメカニズムは従来の方法と全く違うものです。免疫チェックポイント阻害剤というものを使います。そのメカニズムはこんな感じです。

免疫チェックポイント阻害剤が免疫細胞のブレーキ部分にフタをします。
            ↓
その結果、がん細胞はブレーキボタンが押せなくなります。
            ↓
これにより免疫細胞が本来の力を発揮し、がん細胞を攻撃します。
654984-1これまで免疫細胞を活性化するためアクセルを押すことばかり考えられてきました。
これはまさに逆転の発想だったといいます。

この免疫チェックポイント阻害剤が一躍注目を浴びたのが2012年のアメリカの研究グループの論文からでした。治療の手立てがない3つのがん(メラノーマ、非小細胞肺がん、腎臓がん)にこれまでにない効果があったというものでした。中でもメラノーマでの効果は目を見張るものがあったといいます。
この免疫チェックポイント阻害剤はニボルマブと呼ばれる薬です。実はこの薬、2014年7月に世界に先駆けて日本で悪性黒色腫メラノーマの治療薬として承認されました。免疫療法の薬としては日本で初めて承認されたものだそうです。ニボルマブは免疫細胞のPD-1と呼ばれるブレーキとがん細胞のPD-L1が結合するのをフタをして阻害する働きをする薬だといいます。この免疫のブレーキPD-1の発見からニボルマブの開発に深く関わってきた方は日本の研究者で京都大学 客員教授 本庶佑先生。ノーベル賞候補にも挙げられる先生です。ニボルマブはアメリカではメラノーマの他、肺がんの治療薬としても承認されました。

ニボルマブは患者へは点滴として投与されます。
気になる副作用ですが、やはりあるそうです。例えば間質性肺炎、甲状腺の異常、腸炎など。ただし抗がん剤のような、吐き気、脱毛といった症状はないといいます。
この免疫チェックポイント阻害剤は一度効き始めると長期にわたって効果が持続するといいます。これはがん細胞が変異を起こしても免疫細胞が対応することができるためだといいます。
ここまで聞いた段階で新しい免疫療法は夢のようながん治療法だと思われそうですが、実は効果があるのは今のところメラノーマでは全体の2、3割程度で残りの7、8割の患者さんには効果が出ていないといいます。なぜ、多く人に効かないのか?その理由の一つが、既に免疫細胞が疲れきっている場合が考えられるといいます。他にはPD-1以外の別の免疫のブレーキが押されている可能性あるということでした。
もう何も手立てがない患者さんに対して2、3割効果があるのはスゴイことですが、夢のがん治療になるにはまだまだこの新しい免疫療法は課題があるようです。

新しい免疫療法の課題

1.薬が効くかどうかどうやって見分けるのか
卵巣がん患者20人に対してのニボルマブの臨床試験では、3人に効果がありましたが10人には逆に悪化するということが起こりました。
薬を投与する前に、患者に対して効くか効かないを見分けるのが目標で現在あらゆく角度から検討しているところだといいます。

2.ニボルマブと他の薬の組み合わせにより効果がでる割合を上げる
ニボルマブ+抗がん剤、ニボルマブ+免疫細胞のアクセルボタンを押す薬、ニボルマブ+別のブレーキボタンを押す薬など、様々な組み合わせてを行っているといいます。現在このような様々な組み合わせで効果があるかどうかの検証中だといいます。

番組、前半では夢のがん治療法というイメージがありましたが、今後の課題を聞くとまだまだ道半ばというイメージです。今後の新しい免疫療法の新たな展開に期待したいものです。

新がん免疫療法が効きやすいがん・効きにくいがん

NHKテレビ「クローズアップ現代」10月27日でも新・がん免疫療法が取り上げられました。新がん免疫療法が効きやすいがん・効きにくいがんが紹介されました。
g1654654-1効きやすいがん:メラノーマ・肺がん・腎臓がん・ホジキンリンパ腫
効く可能がある:頭けい部がん・卵巣がん・胃がん・乳がん
効きにくい:すい臓がん・前立腺がん・大腸がん

ホジキンリンパ腫が9割、メラノーマ・肺がん・腎臓がんが2割~4割の患者さんに効くという報告があるそうです。ホジキンリンパ腫にはとても効果があるようですが、メラノーマ・肺がん・腎臓がんが効きやすいといっても半分を割っています。この割合は低いようにも見えますが前にも述べたように、もう何も手立てがない患者さんに効いたという割合なので画期的だと考えられるということでした。

では、効きやすいがん・効きにくいがんがあるのはなぜか?
この違いはがんの遺伝子変異が多いか少ないよると考えられています。つまりこれは、免疫細胞ががん細胞を見つけやすいかどうかによるものだと考えられてるようです。

新がん免疫療法の副作用として重症筋無力症にかかるなど重篤な副作用が10人に1人出るという報告もなされているようです。世界が注目の希望が持てる新がん免疫療法ですが、やはりまだまだ課題は多く、いくつものハードルを超えないといけない状況のようです。

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